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エンジニアに「この会社はないわ」と思わせる面接のパターン

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photo by DonkeyHotey

就職市場は売り手市場になりつつあるだとか、IT業界は人手不足だなどという話を最近はよく聞きます。
が、そういうわりにはマイナビだとかの斡旋サービスが出す雇う側視点の面接ガイドみたいなものが幅を利かせていて、雇われる側が面接の時にどういう基準で会社を選別しているのかみたいなおはなしは見かけない気がします。当たり前ですが、雇われる側にとっても面接とは擬似的にその会社の人間を体験する場(インターンほどではないですが……)なので、実際にやりとりをしてみたところで魅力に欠けるような会社であれば、志望を取り消します。逆お祈りメールです。

そんなわけで、プログラマーが面接を受けて「この会社こわ、入るのやめよ」っておもうような基準についてのお話ってみかけない気がしたので、エンジニア仲間と駄弁ってて出てきた話題だとか独断と偏見から出てきた考えだとかを書きなぐろうと思います。

なお、僕がプログラマーなのでITエンジニアとかそういう感じの単語を当てていますが、技術職全般の採用に重要なことなんじゃないかなと個人的には考えています。はい。

1. 開発部門の人が面接会場にいない

人事や、いても営業しかいないパターンです(スタートアップだったりするとそもそも人不足なので起こりえない事態ですが)。このパターンがよくない理由はいくつかありますが、個人的には採用プロセスに一度も現場のエンジニアが関わらないことがわかった時点で、時間の無駄なのでその会社には即お断りの連絡をいれると心に決めています。

ピープルウェアという書籍に「曲芸師を雇うのに面接で一度も芸をやらせないサーカスの団長」のお話が出てきますが、まず大前提として技術者を雇うのに技術のわかる人間が採用に関わらないのは全くもって理解不能のクソです。
そういう技術を軽視した面接プロセスを敷いている体制が見え透いた面接をしていると、「技術者を技能ではなく頭数単位で考えて採用する会社に入っても人間的な扱いを期待するのは厳しいな」と考えて普通のエンジニアは引いてしまいます。

あるいは、そこで働くエンジニアが人事に一切の興味がなくて出席を拒むケースがあるかもしれませんが、人間の集まりである会社でそういう考えがまかり通る組織はどう考えても不健全なのでやはり入りたいとは思わないでしょう。

当たり前ですけど、プログラマーが一緒に働くのは人事ではなくて同じ開発部門の人間ですから。

2. 技術についての質問がない

技術の質問がなく、趣味だとか旅行の話とか最近読んだ本だとか学生時代の武勇伝だとかを延々させられるパターンです。
あるいは、あったとしても「ジャバ歴は何年ですか?(とりあえず経験年数聞いておけばいいだろ)」「CとかC++って出来ますか?(とりあえずCって言っておけば良いだろ)」のような、おざなりでかつ質問者のレベルが知れてしまうような質問をされると、面接を受けているエンジニアはその場で履歴書をシュレッダーにかけに行きたくなることでしょう。

なぜなら、そういう面接の仕方をしているということは、それを経て採用された現場の人間もあまり技術に興味のないサラリーマンプログラマーばかりである可能性が高いからです。

3. GitHubなどのプライベートでの活動に何も触れられない(履歴書などに書いていた場合)

別に殆どの人間はGitHub*1で華々しい活動をしているようなことはないでしょうが、プログラマーの生の実力を簡単に知れる超有効なサービスであるGitHubや、飾らないその人の考え方を知ることが出来るブログなどについて何も触れられないというのは、真面目に採用をする気のない会社であるか、Gitの存在すら知らない技術レベルの低い集団であると捉えるのが自然です。そういう会社に入ってしまうとエクセルや日付付きファイル名による管理運用を強要されてしまい、再起不能の心の傷を負うことは必死なので、まともなエンジニアはそんな会社に入りたいとはおもいません。

別にGitHubやブログが採用に超役立つしエンジニアなら必須でしょとかそういうことは言いません*2が、少なくとも面接者の年齢だ性別だ趣味だと、そういうクソどうでもいいプライベートをアレコレ質問するよりは有用だろうということを言いたいだけです。
みんながみんなそうだとは言いませんが、僕の観測範囲では優秀なプログラマーは良くも悪くも公私混同な人が多いのでプライベートでの活動というのはそれなりにアテになると言って良いのではないでしょうか。

4. 圧迫面接

職種など関係なしに、論外ですね。
立場を利用した下劣なやり方で相手を責めて、その反応を試そうなどという人間と一緒に働きたいわけがありません。

ストレス耐性をみるなどとも言いますが、いきなり初対面の人間に失礼な物言いや侮辱を連発されるような環境への耐性が必要な職場はよくてブラックです。僕は入りたくないです。

お互いの「この人と一緒に働きたいかどうか」という視点を欠いた面接なんて時間の無駄ですよね。

5. 手書きの履歴書が必須

正直なところ、イマドキ特にこの業界で履歴書でもないとはおもうんですけども「どういう人が面接を受けにきたのか」の記録用程度には役には立つのかなぁとはおもいます。しかしいくらでも代替手段はあるので、出したい人は出すとかそういうんでいいと思うんですけどね。

ただ、無意味に手書きを強要するようなアナクロな会社に入りたい人はあまりいないんじゃあないかとおもいますね。IT系の技術者にポートフォリオを要求するのに、手書き限定というのも意味がわからんでしょう。
「手書きの文字をみれば相手の人柄がわかる」とか馬鹿なことをおっしゃるエスパーな方がいますけど、だったら直接会って面接する必要なんてなくないですか?

6. 謎の面接独自マナーが沢山ある

個人的にきちんと毎日お風呂に入らない奴は死ねば良いと思っているので、生理的に不愉快なレベルで不潔だとか、そういう人としてヤバい人間を落とすのは仕方のないことだとおもいます。

そういうことではなく、面接に来る人間はリクルートスーツを着ろだとか、髪の毛を染めるなだとか、男子の髪の毛は五分刈り以外認めないだとか、その手の面接専用な謎ルールによる判定を行っている会社のことです。

もちろん、組織に属するということなので、例えば配属されるであろうエンジニアが「ファッションの方向性が不愉快すぎて一緒に働けそうにない」「ハンカチにアイロンをかける男は個人的に信用しないことにしている」という評価を下すようなケースは正当だとおもいますし、こちらとしても気が合わない人とチームを組んでも誰も幸せになれないので両者に益のあるジャッジでしょう。

重ねてになりますが、スーツを着る必要のない職場なのに面接ではスーツの着用を強要するなどの、面接向け特別ルール(非論理的な締め付け)が沢山存在する会社は技術者との相性が悪いですよねという話です。
「出されたお茶は飲むべきではない」とか「コートハンガーをすすめられても奥ゆかしく断って畳んで自分で持つのが実際好印象である」のような、まともな採用のノウハウのないアホが霊感に頼って生み出した占いめいた面接プロセスをよしとする会社は、論理的思考や実用性をもってよしとする傾向にある技術者と相容れないものでしょう。

まとめ

職務経歴書の書き方と面接術|【Tech総研】

僕が学生時代に行った就活は、上記URLの記事みたいなところで語られてるような小手先の面接論に随分と踊らされたせいでなんらかの逆バイアスがかかっている感がなきにしもあらずです。
色々と書きましたが、結局のところ一番大事なのは面接を通じてお互いが相手を評価しあうこと、そして両者の納得がありきで採用が決まることが一番健全だよねと言うことです。ただそれだけです。

就職活動は、採る側も入る側もお互いをちゃんと審査するのが自然だとおもいます。なんだか世の面接テクニック講座みたいなものをみていると、自分が値札を貼って買われるのを待つ八百屋の野菜みたいな気分になってしまい気が滅入ります。
採用する企業側は、人事にまかせっきりで何も考えずに他所と同じような感じで面接しておけばいいかなーみたいな雑な感じで面接をしていても、現場が本当に望む人間が入ってくる可能性が少ないことをちゃんと考えた方がいいんじゃないかなぁとおもいます。技術軽視の採用をして「優秀な技術者がいない!」などと騒いでいる多くのSI企業*3はマジでヤバい感じがしてますます近寄りがたくなる悪循環に陥っていることを自覚しているのでしょうか……

逆に入る側の人間も、わけわからん小手先の面接テクニックに溺れたりせずに、自分自身のプレゼンテーションと、対象の企業でやっていけるのか、自分はどういう役割を果たせるだろうかみたいなそういう意識高い感じのことに注力するとすごい健全な面接が生まれるんじゃないかなとおもいます。
試す側と試される側という格差はあるわけだけども、人間としては対等なわけだし、ちゃんと技術者同士リスペクトしあえるような文化がある組織であれば圧迫面接などをするはずがないです。新卒にしろ転職にしろ、焦りに踊らされてそういう企業に入ってしまって幸せになりましたという人をみたことがないのでお互いに気をつけましょう。

*1:Bitbucketでもいいですけど

*2:僕にしたところでぱっとしないエントリやリポジトリばかりです(悲しみ)

*3:全部じゃないよ