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エンジニアの技術力と給料の相関についての誤解と幻想

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SNSやブログでこの手の話題が定期的に盛り上がりますが、難しい話をするわりにしょうもない二元論に陥って基本的な事実を見逃されているようにおもえるので簡潔にまとめます。

技術力と給料が相関関係にない理由

技術力を測るスカウターが存在しない

そもそも論になってしまいますが、技術力ってなんですか? っていう話です。
数値化できない以上、普通の組織であれば「社内の曖昧な相対評価」みたいなものに落ち着いてしまいます。

そのうちにAI(エーアイ)がなんとかしてくれるはずでしょうが、今はまだ無理です。

お金は無から湧き出てはこない

はい。
金のない会社は社員に給料を出せません。なので、どんなにスゴイ級の腕前を持っているハッカーであっても、所属する会社が儲かっていたり多額の投資を受けていたりしない限りはおちんぎんは高くなりません。

「技術力と給料」の話をする人はなぜかみんなここの前提を吹っ飛ばして喧々諤々やってしまいますが、独りで会社に爆益をもたらすヤバイ人でもない限りは会社の金回りがボトルネックになって給料が決定されます。

技術力が差別化項目になっていない組織

噂によると、ひよこ鑑定士は資格の習得難易度も高くなかなかの年収を誇るようです。
ただしそんな高度技能であるひよこの鑑定であっても、それに高給を支払ってくれるのは鶏を扱っている企業だけでしょう。例えば不動産会社はひよこ鑑定士に年収700万円を支払ったりはしません(たぶん)。

「IT業界」というくくりが、せいぜい「パソコンをつかっている人たちがあつまっている」程度の意味合いしか持たない我が国において、エンジニアリングの技能を全く必要としていない「IT」企業なんて掃いて捨てるほどあります。
たとえば、病院なんかの金を持ってるけどITに疎い人しかいない組織を適当に騙して、保守料金と称してWindowsアップデートの実行に何千万円も取る作業にPythonでAIをディープラーニングできる人材は不要です。

さすおに様じゃないですが、評価対象にならない技能を磨いても給料が上がらないのは当然です。*1

競争力

例えばJavaなど、知っている人が多くてコモディティ化しているような技能と、PythonでAIをディープにラーニングをするような技能だと、同程度の極め度であっても後者のほうが給料が高くなる……なんてことは普通にありえます。*2
逆にJavaのように誰もが学校の授業でやって知ってはいるような言語だとしょうもないフェイク野郎しかおらず採用に苦労するため、極度極め人材は高級チャンスかもしれません。あくまで例です。

モバイルアプリはずっと単価高いままですし、今であればReactやVueなどもTODOアプリ作りました(GitHubでサンプルをフォークしただけ)程度の経験で他分野のベテランより単価高いなんてことも普通にありえるんじゃないでしょうか。知らんけど。

モノの値段は需要と供給で決まるというお話でした。

『新卒』

例えば僕より優秀な学生なんていくらでもいるでしょうが、我が国では新卒の網に絡め取られてしまい横並びの給与しか支払われません。すごい!

技術力が給料に影響する例

技術力で売っていて、かつ強い組織にはいることができる

上で挙げた例の逆ですね。
高度な技術力が他社との差別化要因であり、収益を支えている会社に技術者として入れば当然高い賃金が支払われます。そういった組織へはいるためには高い技術力が必要になってきます(たぶん)。

転職しやすい

昇級は様々な面倒ごとを伴います。また、僕の知る限りまともな評価制度を備えた会社はごくごく少数です。
なので給料を上げる最善手は転職を繰り返す*3ということになりがちです。

最初に「スカウターはない」という話はしましたが、技術者同士であれば「気」のデカさというか、しばらく雑談する程度でも「おめぇすげえ強そうだな!」くらいのことは感じ取れるので、スキルの高さと転職のしやすさは概ね相関関係にあるといってよさそうです。

ブランディングしやすい

知名度 = 技術力ではないですが、強いほうがブランディングしやすいのは確かです。

フリーランスしやすい

僕は生活力が皆無なので技術力云々以前の問題ですが、フリーランスうまくやれば組織にまつわるもろもろのボトルネックを回避できる……かもしれません。

まとめ

給与の額面を決める一番大きな要因は所属する国と会社。
技術力は競争力。売る相手を間違えたら買い叩かれるのは当然。

僕は給料のためだけに勉強とかしたくなくてそれだったらゲームしてたいけど、お金が必要な理由があって頑張ってるのに給料があがらない……と嘆いている人はもしかすると努力する箇所やモノを売る相手を間違っているのかもしれません。


個人的に日本の会社で給料を上げる方法が

  • 家庭環境の変化(結婚、子供ができたとか)という意味不明でかつウェットなやつ
  • 昇進による役職手当て
  • 転職 or 転職を切り札に交渉

くらいしかないのは不健全なのでどうにかならないかなーとおもうんですがどうにかなりませんかね。
以上。

*1:もちろん人生は自由ですし、勉強は楽しいものなのでやったほうがいいですが金が欲しいなら他のことをしたほうがいいよという意味です

*2:国語が苦手なお友達が多いので念のため書いておきますが、あくまで例です

*3:なぜ繰り返すかというと、「前職の給与を考慮」というよくわからない風習があるからです。やっぱ技術力関係ないじゃないか(絶望)