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個人型確定拠出年金(iDeco)のメリットとデメリットのまとめとNISAとの比較

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前回 hachibeechan.hateblo.jp に引き続きマネートークです。

ちょっと前から企業型確定拠出年金に加入していても使えるようになったiDecoですが、NISAや普通の特定口座などと比べて果たしてどういうメリットとデメリット(基本的に銀行とかのホームページでは良いことしか書いてありませんからね)が存在するのかがわかりにくかったのでまとめておきました。

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iDecoのメリットについて

まずはメリットについてです。ぶっちゃけいくらでも出てくるので軽く触れる程度にしておきます。

減税効果

最大のメリットですね。
拠出しただけ控除がありますので、翌年の所得税や住民税や安くなります。つまり購入した瞬間にすでに得をしている状態になると言っても過言ではありません。

月々の拠出限度額はそれぞれの条件に応じて違いますが、ほとんどの人は23,000円が限度じゃないかなーたぶん。
減税効果は各自の年収に応じて違いますので適当に計算してみるといいでしょう。

利益が非課税

こちらも税制周りです。NISAと同じく利益が出てもその分に税金がかかりません。
例えばリバランスなどのため、一時的に株式のファンドを利確して債券に移した場合など、一般口座や特定口座はそこに税金がかかりますし、NISAであれば売却した時点で枠を消費してしまいます*1。しかしiDeco内であればどのように資産を動かして利益を出したところでそこに税金はかかりません。
長期投資において一番重要なのは複利ですので、そこに税金が一切かからないというのは大きなメリットとなります。

とはいえ注意しないといけないのは、非課税なのは運用益に限るということです。

どういうことかというと、満期を迎えて引き出すときは普通に税金がかかるということです。
税金の計算は受け取り方に応じて変わります。一時金で受け取るならば退職金扱い、月々に受け取るならば年金扱いで、それぞれ控除枠が違います。また、他の退職金や年金などと合算して控除枠が決まります。めんどくせー!
もっとも、めんどくささを我慢して控除枠を上手に使えばそこでも節税できるメリットはあります。

お金がふえる(うまくいけば)

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ただの貯金とは違い、うまく運用すれば払った金額以上のリターンが期待できます。
すごーい! 国民年金とは大違いですね!

破産してもiDecoの掛け金は守られる

タイトルの通りで、仮にヤバイ級のインシデントが発生して破産することになってもiDecoの掛け金は差し押さえの対象外となります。できれば体験したくないメリットですが……

iDecoのデメリットについて

以上がiDecoのメリットでした。二つだけかよ感はありますが、この二つがでかいですね。

次がデメリットです。こちらは触れられることの少ない部分ですね。
「髪を切るべきかどうか、床屋に尋ねるべきではない」という格言がありますが、同様に資産運用について銀行や証券会社に教えを乞うのは危険です。

手続きが無限にめんどくさい

アホかとおもわれるかもしれませんが、実に多くの人がめんどくさいからという理由で何もしないでいることを考慮にいれると、iDecoの手続きのクソめんどくささはその人たちがあげた重い腰を釘バットで叩き割るくらいの威力があります。

名前、住所、年金番号を何度も書かされ、ハンコを10回以上要求され、サラリーマンは会社から書類にハンコをもらい、さらにさらに会社の確定拠出年金からの移管手続きなどが入るとさらに書類が増えます。本当に心を折られます。
なんのためのマイナンバーなんだよ……

今現在の日本では多額の企業型拠出年金が退職時に塩漬けになっているようです。個々人が努力するのはもちろんですが、政府はもうちょっとこう…手心というか…真面目にやれ。

さらに、そもそも選ぶ運用会社によって手数料(後述します)や取り扱っている商品も違います。毎年のように情報が更新されているので、最新の情報を見比べるだけで嫌になること請け合いです。

運用しないといけない

ぶっちゃけインデックスくらいしか買う商品ないんだから放置でよくね? とおもわなくもないですが、リスクを避けたがる堅実な性質をもつ我々日本人は生真面目にも値動きが気になって夜も眠れなくなるかもしれません。
そもそもギャンブルである金融商品についての知識をすでに持ち合わせている日本人は少数派である*2はずなので、運用以前に何を買うべきかを調べるだけでかなりの時間を食ってしまうでしょう。

まぁ皮肉はなしにしても管理する口座が増えてしまうというデメリットはあるとおもいます。

損益通算ができない

利益が出ても税金がかからない以上、損が出てもそれで利益を相殺することができないということです。これについてはNISAも同様のデメリットを抱えています。

各種手数料がかかる(重要)

まーしょうがないよねーで済ませてはいけません。企業型確定拠出年金ではあなたの会社が手数料を払ってくれますが、個人型は個人なので個々人が支払う必要性が生じます。
各証券会社の争いによって、運用会社への手数料は無料のところが増えていますが、国民年金基金連合会に対しては必ず年貢を収める必要があります。加入時に2,777円とられ、毎年最低でも2000円はとられます。運用会社によってはもっとかかります。さらに満期を迎えたあと、給付ごとにも手数料が400円ほど取られます。

基本的には減税メリットが手数料を打ち消してくれるのですが、この手数料によって元本保証型商品が全て機能不全に陥ります。
半ば強制参加である企業型確定拠出年金の導入時には、加入者の多くが元本保証型の商品を購入したんじゃないかとおもいます。少なくとも僕の周りはそうでした。
前回のブログでも少し触れましたが、リスクのない資産というものは存在しません。元本保証はリスクがないという意味ではなく、額面上は金額が減らないということです。定期預金は言うまでもなく問題外ですし、多くのiDecoが採用している積立年金保険も年ごとに配当が減っています(0.01%を割っていたりします)。

これではインフレリスク云々を述べるまでもなく、支払ったお金から得られる利益が口座の管理手数料に負けて目減りしていきます。ノーリスクマイナスリターンです。さらにですが、定期預金も保険も定められた期間以外で解約する場合はiDeco内だろうが容赦なく手数料がかかります。

もちろん全額定期預金に突っ込んだとしても、減税メリットが手数料を上回るはずなので問題はないはずなのですが、例えば経済的な理由で途中に掛け金が支払えなくなった場合など、口座のお金が減っていくのをみせられることになります。

自己責任といえばそれまでですし、クレームへの対処など色々あるとおもうので難しいとおもうのですが、正直なところ確定拠出年金から定期預金は外した方がいいんじゃないかと個人的にはおもっております……。

手数料は割合ではなく固定で引き落とされるので、掛け金が多い方が相対的に手数料はやすくなります。ただし掛け金額の変更は年に一度しかできないのでご利用は計画的に。

選べるファンドがかなり限られている

NISAでは投資信託、個別株から海外の株式まで基本的には好きな商品を選んで購入することができます。
つみたてNISAでは金融庁の厳選した投資信託のみを購入することができます。前回の記事でも触れましたが、99%を腐ったゴミが占める日本の投資信託においてこれはメリットになります。

それに対してiDecoでは購入できる商品が限られています。そして、商品を厳選したのは運用会社です。先ほどの比喩に当てはめるのであれば出来る髪形の限定された床屋です。何の知識も持たずに入ってしまうと、容赦なくカットの楽な角刈りか丸坊主を選ばされてしまいます。
信託報酬1%どころか2%を越えるようなファンドが普通に存在していますし、それらが購入ランキング上位に並んでいたりします。
ただでさえ口座の運用に手数料がかかるのに信託報酬が2%を越えるファンド、しかも分配金を出すようなファンド*3を購入してしまった場合、最悪で赤字に転落することすらありえます。

この状況を投資初心者に優しいと言うのは難しいでしょう。また海外を対象にした投資信託が少なく、あまり質もよくありません。
海外を対象にしたインデックスファンドですと、多くのiDecoで取り入れられていてかつ一般に人気があるのが「ニッセイ-DCニッセイ外国株式インデックス」です。日本以外の全世界を対象にしている、資産の分散を意識したい日本人にはありがたい指標にたいするインデックスファンドで、信託報酬も0.2268%と比較的安いのですが、実はトラッキングエラー*4をたびたび起こすことで批判されがちなファンドでもあります。

信託報酬が高いのは論外ですが、安かろう悪かろうもよろしくありません。……これを言い始めると投資信託に買うものがなくなってしまいますが。
取扱商品でいうと、現状では楽天証券が一番いいようにみえる(全米/全世界バンガード楽天DCがラインナップにはいっているため)のですが、個人的にイマイチ楽天のサービスを信用しきれないので……。スパムメールとか飛んできませんか?

拘束期間が長い

iDecoは解約を開始できるのが最短でも60歳からと決められています。年金なので……
つみたては長期でやるものなので別にいいのですが、何か緊急の用があってお金が必要になることがあっても引き出すことができません。また最低でも10年間は掛け金を払わないと引き落としの権利が得られません。

できれば税金の控除で浮いたお金の全額、できれば半額を何らかの形でとっておく(あるいは債券ETFなど値動きがゆるやかで流動性が高い商品に再投資しておく)など生活防衛資金に余裕をもたせておいたほうがいいでしょう。

ちなみにですが解約は最長で70歳まで引き延ばすことができます。金融危機でつみたてた投資信託が大暴落などしていた場合は給付をのばしたほうがいいかもしれません。10年もあれば普通は相場は回復します*5。間をつなげる程度のDeco以外の老後資産を作っておいた方が安全度は高くなるかもしれませんね。

結論

デメリットが多くなってしまいましたが、なんだかんだ言って節税メリットや非課税メリットは大きいです。
たとえ定期預金だけだとしても、他に何も投資していないのであればやらないよりはやったほうがマシだとおもいます(計算してないけど)。

ですが先にも述べた二つのデメリット

  • 管理手数料

  • 選択肢が限られている上に質の悪いファンドが多い

は見逃せないとおもいます。

ということで年収が1000万円を越えていて数少ない節税手段を活用したいサラリーマンなどをのぞくと、初心者がiDecoを申し込むのはある程度の知識がついてからでも遅くないようにおもいます。
まずはゴミ商品があらかじめ取り除かれているうえに開設も簡単で、万が一「こりゃ向いてねーわー」とおもったとしても簡単に解約できるつみたてNISAからはじめることをおすすめします。

クッッソ長くなりましたがこちらからは以上です。

*1:これはNISAの悪いところなので改善してほしいですが……

*2:僕も前の会社で確定拠出型年金が導入されたあたりをきっかけに勉強をはじめましたし

*3:iDecoであれば分配金自体への課税はありませんが、ファンド内部での現金化に対する課税でパフォーマンス悪化の懸念があります。また銘柄が管理されているつみたてNISAと違い、タコ配当という詐欺まがいの投資信託が混在している危険性があります

*4:目標とする指標と実際の値動きに差が出てしまうこと

*5:日本はしませんでした。このことからも一企業、一国への集中投資はリスクが高いことがわかります