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コミュニケーションにおける自己主張の重要性について

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この記事はコミュニケーション Advent Carender 2015の17日目の記事です。

この記事の主題はコミュニケーションにおける自己主張の意義についてです。

多くの人は「自己主張丸出し」なんていうと、あまり良い印象を持たないかもしれません。

チームの最終目的について

一口にコミュニケーションといっても、様々なシチュエーションがあります。
今回は主にエンジニアを対象としているAdvent Carenderであること、そもそも僕自身がエンジニアであることから、コミュニケーションを行うシチュエーションを「あるプロジェクトのために、共に働くチームとおこなう」ものだとしてお話しします。

さて、この場合におこなわれる、メンバーとのコミュニケーションの最終目的とはなんでしょうか?
無論、各自それぞれの思惑はあるでしょうが、チームとしての至上目的は「プロジェクトがうまくいくこと」でしょう。そしてチームがうまく働くために必要なのが相互理解です。

「互いの気持ちを理解し合う」ときに見落とされがちなこと

一日目の記事に「お互いの気持ちを理解し合う」ことについての言及があります。とても大切なことです。
そして「相互理解」というとき、多くのケースで「相手を理解すること」に重点をおきすぎるあまり「自分の情報を相手に伝える」ことが見落とされがちな気がします。

アイサツはまず自分から、つまり相手に本音で話してもらうためには自分も本音で話さなければなりません。もちろん言い方は気をつける必要がありますが。

たとえば相手の意見に賛成しかねるときには、自分の懸念やなんかを真っ向から相手にぶつける必要があります。「反対するのは相手に悪い気がするから」黙っている、というのはコミュニケーションの否定です。
そして反対された側は、それを受け入れるにしろ、自分の主張を通すにしろ、一度相手の意見をちゃんと聞き入れた上で、それに対して自分はどうおもったのかというボールを投げ返す必要があります。

もちろん相手の意見が素晴らしい、大賛成だぜ! というときには「俺はお前の意見に大賛成だぜ」という気持ちを投げていくことも大事です。ユウジョウ! 壊れるほど愛してるなら、ちゃんとI Love Youを言わないと1/3も伝わらないわけですね。

ここで間違ってはいけないのは、自己主張のゴールはまず「相互理解」にあって、「自分の意見を押し通す」こととは全く次元の異なる話であるということです。キャッチボールが成立するためには、まず誰かがボールを投げないといけないでしょ? ってことです。そして投げ返されたら受け取るのです。

意見の対立は立場の対立ではない

我々が、義務教育、就活、シンソツケンシュウなどを経て学ぶ主なコミュニケーション手段は「自分を押し殺す」「相手を立てる」ことの二つになるんじゃないかとおもいます。いわゆるLose-Winというやつです。
これは主に教える側の簡単のためという都合もありますが、トップダウンで決められた手順を行う組織においては最も効率の良い思考方式であるという側面もあります。

ですが、ボトムアップで自ら意思決定をして行動する「チーム」をつくるためにはこれだけでは不足です。

最初の最終目的に話が戻りますが、メンバーはチームのために存在しており、チームはプロジェクトの成功のために存在しています。そもそも立場の相違はありえません*1
メンバーはチームの手足であり頭脳そのものです。メンバーが思考して、その結果を他の細胞に伝達することは重要な責務です。つまり、ここで自己主張を放棄するのはいわばメンバーとしての責任を放棄することに等しい行為になります。

お互いをリスペクトしているチームであれば、仮に意見が対立してもそれを恐れる必要はありません。
逆に、立場の対立が起きないよう常に気を配り、お互いの意見のすりあわせを行う必要があります。ときには新陳代謝も必要になります。

なぜチームを組むのか? なぜコミュニケーションが必要なのか?

そもそも人はなぜチームを組むのでしょうか。
様々な理由があるでしょうが、最も健全なものは一人ではできないことをするためだとおもいます*2

ここでいう「一人ではできないこと」というのは、単純な作業量の話ではないです。単純な作業量は、特にエンジニアリングのような領域では工夫と時間で補うことは、不可能ではありません(できるとは言っていない)。

チームを組む意義、そしてその中でもコミュニケーションが大切になる理由というのは大きく分けて三つあります。

  • それぞれの得意を生かした協業

  • より洗練された目標設定

  • 高度な意思決定

そして、これらのことをうまく行うためには各メンバーの自己主張が必要不可欠となります。
仲間との最高のコミュニケーションを行うためには、まず自分の手の内を開示する必要があります。そして、相手を受け止める覚悟が必要になります。そして自分を相手に受け入れてもらうことです。
良いチームと良いコミュニケーションを行えたとき、自己主張のぶつけ合いーープランXとプランYの戦いーーが思わぬ収穫、プランZを生み出すことがあります。
良かれ悪しかれ、僕はこれこそが他人とチームを組む最大の理由だと考えています*3

ビルゲイツがイエスマンを嫌って、側近には議論のできる人間を配置するというような話をどっかで聞いたことがありますけども、それも上のような効果を狙っているところはあるのだとおもいます。

貴方はチームに必要とされている

人が自分の意見を引っ込める理由には色々あるんじゃないかとおもいます。
僕が何も言わずに黙って成り行きを眺める、悪い理由を思い返すと以下のようなことが思い浮かびます。

  • みんなが話してることがよくわからない

  • 間違ったことを喋って恥をかかないか心配

  • そもそも議論に興味がない

とてもいけないことだとはおもうんですが、僕は弱い人間なのでどうしてもこういうものに振り回されてしまいがちです。

なんとなく日本には「相手の言ったことを聞き返すことは失礼だ」というような文化があるような気がします(僕だけかもしれませんが)。「一を聞いて十を知る」とか「空気を読む」といった言葉にもそれが出ているんじゃあないかとおもいます。
ですが、熱いコミュニケーションをするにあたって「ようわからんけどとりあえずイエス」という態度ほど失礼なものはないです。
貴方が知る必要である議題、貴方の意見が必要な場であるから呼ばれているわけです。自分に自信をもって「わからんからもっと詳しく教えてくれ!」と質問するのが大事です。

もしも貴方が寝ていても問題ない会議である場合、それは「会議にはその都度必要な人間だけを集めるように」と運営者にコミュニケーションするべきタイミングなのかもしれません。

自分とチームに誇りを持つこと

言うは易し、ですが。

自分の能力と決定に誇りをもつことは、潤滑なコミュニケーションを行うにあたってとても大切なことだと僕は考えています。そうすると自然に、自分が選んだチーム、自分を選んだくれたチームにも誇りをもつことができます(完璧でなくても良いのです)。

「みんながそれぞれ自己主張していたらまとまる話もまとまらない!」という意見もあるかもしれませんが、この記事でとりあげているコミュニケーションは、学級会や国会のような腹芸の政治とは違います。ちゃんとミッションを共有しているチームであれば、先ほども述べた通りに立場の対立はありえません。そしてミッションを共有し続けるためには、常にお互いの考えていることを伝え合う必要があります。

それよりも議論が無為に長引いたりこじれる原因は、色々と観察していると、各自が自分の決断に責任を持てるほどの自信がなく、かといって他のメンバーの意見もイマイチで、とはいえそれに賛同しても反対してもなんらかの責任が自分にくるだろうからとりあえずナァナァでやっておけばいいかなーあー誰か早くなんか決めてくんないかなーフワァァーー
というような雰囲気が蔓延しているときでしょう。

自分の仲間が信頼できないとき

ここまで述べたのは一種の理想論で、僕自身にしても上に述べたすべてを同時に満たす環境に身を置けたことはほとんどありません。

一日目の記事に印象的な言葉があります。

しかし、そのためには様々なものと戦う事になります。

  • つまらない会議
  • 事務的な仕様の伝達
  • メンバー間の微妙なギスギス感
  • 結論を急ぎたくなる気持ち

こういった部分をどのようにして解決すればいいのか僕には分かりませんでした。 僕が取った手段としては会社を辞めて、楽しいメンバーたちと会社を作ることでした。

素晴らしいことに、人間にはそれぞれ個性があります。それゆえに、合う合わないという問題は常に発生しうるものです。
また、これまで述べたようなそれぞれが思考する攻性のチーム運営は、官僚的なトップダウンの組織と大変に相性の悪いものです。上の決定に反対しようものなら干されておしまいということも十分にありえます。
逆に、議論を戦わせることが苦手な人にとって、それぞれの自己主張の強いチームは心の落ち着かない場所になるでしょう。
それぞれ理想とするやり方があるかとおもいます。

彼のいう「ないから作った」というエンジニアスピリット溢れるやり方は一つの参考になるかもしれません。

良いチームと良いコミュニケーションの関係は、さながら卵とにわとりの関係かよといったかんじですが、良い人間と組んで良いチームを作り、良いコミュニケーションを導入するというのが一番の近道だとおもいます。
もちろん、失望する前に自分でやれることは一通りやるべき(それをせずにする自己主張はどうしても薄っぺらくなります)ですが、人間は沢山いるわけで、狭い範囲で四苦八苦するのはきっとあまり効率的なやり方ではないでしょう。自分を知り、相手を知り、ときには引き際を心得るのもコミュニケーションのひとつだとおもいます。

まとめ

少し散漫になってしまいましたが、まとめます。

  • 『自己を主張する』『相手の主張を受け入れる』両方やらなくちゃあならないのがコミュニケーションの難しいところ

  • 議論大事

    • 自分の意見を明確にする

    • でも言葉の棘には気をつけよう

  • 卵かにわとりか、でもきっとにわとりを先に作ったほうが話が早いかも

もちろん、ときには自分を抑えることも大切ですが、なるべくウィンウィンな雰囲気の組織で働けるとみんな幸せでハッピーですね。
ありがとうございました。

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*1:相違がある場合、それが誤解でないのならば誰かがチームを抜ける必要があるのかもしれません

*2:雇用を満たすためというのではあまりに悲しいですからね

*3:仮にZが生まれず、XやYの片方に決まったとしても、それがチームのためであるという納得の元に行われた決着であればそれは素晴らしい、チームの全体の成果です