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タオルケット体操

サツバツいんたーねっと

生産性を測るための尺度が労働時間くらいしかない企業がリモートワークを導入するのってかなり無理っぽいのでは

仕事 考えたこと

タイトル出落ち感がある。つらつらと書く。

ちょっと前まで、通勤はクソ、リモートワークは最高。とりあえず導入しちゃえばみんな幸せになれる! っていう脳みそシンプルな発想でものを考えてた。
でも、実際にちょっとだけ体験したり、人の話をきいたり、妄想したりしてるうちに、なかなか物事そう簡単にはいかねぇよなぁっていう考えに落ち着いてしまったのでまとめておきたい。

ただし、先に結論を書いてしまうとそれでも東京の人間はもっとリモートワークすべきだよ。正直、残業込みで10時間働くよりも通勤電車でスシめいて押し合うほうが100倍疲れるもの(残業が疲れないとは言っていない)。

“この非人間的な場所は人間を怪物にする”
― Stephen King, The Shining

ちょっと前にシャイニングの原作をちゃんと読んだんだけど、オーバールックホテルよりも通勤電車のほうが異常だってのははっきり言えるね。みんな目が死んでる。
たぶんテロリストもドン引きしてるとおもう。

なお、本エントリの話題はプログラマーやデザイナーなんかのIT系クリエイティブに関するものであって、その他の業務については知らない。

管理職の人間がよくするリモートワークに関する勘違い

「サボるのでは?」

経験のないマネージャーや人事部の人間は絶対これを言うとおもう。まず間違いない。
この心配がナンセンスだし、こういう心配をする必要がある人間が上に立っている間はリモートワークの導入はあきらめたほうがいい。

まず一つ目、感情と経験から反論させてもらうならば、リモートワークに対してマネージャーが心配すべきなのは社員がサボることではなく、むしろいつでもどこでも作業ができるせいで働きすぎてしまうことだ。
「たくさん働くならいいじゃん」などと時代錯誤的なことを言ってしまう人は管理職に向いていないのでさっさと引退したほうが良さそう。

慣れてくると労働時間を自己管理できるようにはなるんだけど、リモートワークを導入するような人はSlackやらGitHubを使っているだろう。そうすると休日でもチャンネルの通知やらなんやらを目にすることができるようになるわけで……そうするとムラムラとコードを書きたくなってしまったり、プルリクエストのレビューをしたくなったりする。ワーカホリックな人はそれが幸せなのかもしれないけど、僕はプライベートでは一切仕事に関わりたくないタイプなのでそのうちに消耗してしまう。燃え尽きるとコードが書けなくなる。そんな状況で義務感ベースの無理をすると心を病んで終わる。
これが一つ目。

二つ目。GitとissueとSlack(やその他コミュニケーションツールの様子)を見ればサボってるかどうかは一目瞭然でしょ?
そもそも、会社に出ててパソコンに向かっていたってずっとソリティアやってるだけっつー可能性もある。リモートになったら管理しきれなくなる! っていうのはただの錯覚である可能性が高くて、その実態としてはそもそも何も管理できていないという可能性が高い。
そもそもプログラマーなんて人種は放っておいたら勝手に勉強したりコード書いたりする人間ばかり*1なわけで、そういう人種の管理ってのは規則で締め付けるよりも、ある程度の裁量を与えつつ会社の利益になる活動をするよう誘導していくというのが一番なんじゃないかとおもうわけですね。
部下を監視して操り人形にするのはマネジメントとしては三流でしょう。

いっちょやってみっか! でうまくいくもんじゃない

ハードルになりそうなものを軽くリストにする

  • 勤務体系どうするの? -> 会社の制度的問題

  • リアル出社日は作るべき? -> 制度、文化的問題

  • ツールどうするの? -> セキュリティ、会社の制度、社内政治、老人の説得などの問題

  • チャットが苦手な人はどうするの? -> 文化的な問題

  • 消極的な人はどうするの? -> 文化的な問題

ちょっとおもいつくだけでもこんだけある。
これ、会社の規模や存続年数が中途半端に大きくなるほど変えるのしんどいとおもう。

この中でも、コミュニケーションに消極的な人をどうするかっていう解決策は僕は知らない。
どんだけ消極的でも、リアルならなんとなく集まりに顔を出してるだけでそれとなく存在してる感は出せるんだけど、インターネッツ越しだとよっぽどのスーパーハカーだとか愛され人格者じゃないとマジで空気化する。hangoutで顔出ししても無理。
採用の時点からリモートワーク適正を考慮した判定をしていないとしんどい。まぁ日本的な悩みだとはおもうけど。

リモートを取り入れて長くやっている会社がベンチャーか、先進的な大企業に多いのは上記と無関係ではないだろう。

リモートワークの障害になることやらを掘り下げる

コミュニケーション

コミュニケーションという言葉は、つまるところ人間同士のアレコレをふわっとまとめた自由すぎる言葉だ。範囲が広すぎる。しかしリモートワークをするにあたってはこのコミュニケーションってやつ全般が障害になるので性質が悪い。
経験者たちがコミュニケーションについての知見を持ち寄っても、実は各々違う領域についての話題をしていたりするからだ。
ここでは「情報伝達」と「感情」について書く。

まず情報伝達について。
これについてだけども、そもそもリアル会社においてもまともな情報伝達ができてる? 大丈夫? っていう問題。
オフィスの中と外で「情報格差」が生まれてしまうような場合、大抵は会社の中でも部署やチーム感での没コミュニケーションが発生しているものだ。

「人事は喫煙所で決まる」とかいうゴミ溜めが大好きな脳みそにクソが詰まったクソが好きそうなダサい言葉があるけど、一抹ばかり真実っぽいものが含まれているのは否定できない。
そういうのにしがみついてなんとか意思決定してる組織からリアル集会所を奪うのは酷なのかもしれない。

情報伝達のツールについては、IT企業であるならばリモートワークのために特別なツールを導入する必要はないと僕は考える。それこそ無料のツールだけでも基本的なものが揃っていれば上々で、欲をいえばQiitaだとかesaが入っていればいうことはない。
そして、それをちゃんと使ってくれる人間と文化が揃っていること。これらはリモートの業務ではほぼ必須のものだが、普通の会社であっても業務をスムーズに進行するのに必要なものだ。

まとめると、IT企業らしい情報共有の体制がととのっている会社であれば、今すぐリモートを導入しても(情報伝達に関しては)業務に支障がでるようなことはないのではないだろうか。(ちなみに弊社はできていないので、なんとかしようと頑張っているが人間の精神イズめっちゃ難しい)
客先と電話対応するエンジニアのためには転送サーバを用意したりする必要はあるだろうが。

次に、感情について。
これはすごく難しい問題だとおもう。そもそもリモートワーク最大の障害は「寂しさ」なのだ。みんな寂しがりなのだ。そこをケアしないといけない。

僕の仕事に対する姿勢もあるんだろうけど、リモートワークを支える屋台骨って内容そのものに対するモチベーションなんですよね。だからこそサボってゲームやることも、Twitterに張り付きっぱなしでいること(呟かないとは言っていない)もなくコードを書ける。
そして、僕はどうしても感情的に仕事してしまうタイプなので、内容そのものもそうだけど、チームメンバーへの信頼というか、そういったもろもろの人間関係も精神状態に影響してしまうのだ。きっと僕以外の人もそうだとおもう。

「喫煙所文化」をdisった後にこういうことを言うのは大変恐縮なんだけど、やっぱり一緒にご飯とかを食べに行って楽しい系の人と一緒に働きたい。
仲良しこよしでナァナァになるのは危険なんだけど、僕の経験からくる体感としては、そういう人とチームを組む方が生産性高い。これは僕の性格上、信頼してる相手のほうが忌憚なく意見を言えるというのが影響しているはずなので、おそらく個人差があるだろう。

というわけで、僕はリモートワークを取り入れている会社であっても、無理のない頻度で出社日のようなものを作るべきだと考えている(ビデオチャットではなく)。
とはいえ、別の地方だったり、海外だったりの拠点と仕事する、などの都合もあるはずなのでそこらへんはまた違ったノウハウが必要になるだろうとはおもう。

チャットのやりとりだけでは感情が伝わらない?

オンラインゲームをやっていた経験からすると、これにはNoを唱えたい。
ハマったことのある人ならばわかるだろうが、オンラインゲームは基本的にアバターとチャットだけのやりとりのはずなのに、まるでムラ社会めいた濃いコミュニティが形成される。中にはリアルで結婚とかしちゃう人もでてくる。ある意味でリアルワールドよりも感情が濃い場が形成される場所なのだ。慣れてくると、しばらく話してるだけで相手の年齢、性別、社会的地位まで予測できたりする(ハズれることもままあるが)。
ああいう場所を目の当たりにすると単純に「チャットだけじゃ……」とは言い難くなるのだ。

とはいえこれには条件が付く。チャットによるコミュニケーションには巧拙がある。
情報発信欲が高く、文章を書くことに抵抗のない人間は「チャット力」が高いようにおもえる。

また、読み取る側の読解力というか、チャット文化への理解度みたいなものもあって、例えば2chだとか由来の言い回しの中には、繊細な感性を持つ人が初見で読むにはちょっと「ぶっきらぼう」だとか「怒っている」ように解釈されなくもないものが少なくない。僕のような、ツイッターを好むタイプの人間はこういう系統の言い回しをしがちなのでFacebook文化圏の人と話すときには結構気を使っている。

まぁ、口語のコミュニケーションとは違うコンテキストが流れている場所なので、そこのギャップに戸惑うというのが真実で、訓練して慣れれば感情を伴うコミュニケーションは(ある程度)可能なんじゃねっていう話です。
無理な部分はSkypeとかリアル対面で補えば良いだけですしね。

まとめ

リモートワークを取り入れて、長くちゃんと運用できてる組織はマジですごい。やりたい! ってだけでやれるもんじゃない。
逆に、部分的であれ、リモートワークを取り入れているっていうのはその会社を測る上での一つのベンチマークになるだろう。つまり、少なくとも現代的な思想とそれを実現できる環境を整えているっていうことだ。

導入を考えている会社は、ひとまずフレックスタイム(コアタイム9:00〜17:00とかいうクソふざけたやつじゃないの)とか、裁量労働制を取り入れて、その上でちゃんとITしてる情報共有の仕組みだとか各員の生産性管理の手法を練り上げていくと良いのかなーとおもった。
少なくとも労働時間を管理するのはやめたほうがよさそうだし、残業の概念は投げ捨てるべきじゃないだろうか。
人々の努力に期待する体制は死なので、仕組み作り頑張るしかなさそう。導入のハードルの99%は人間にある。必要なツールはほとんど出揃っている。

意識高いインターネッツは華やかな情報が好きなので「Slackを入れるとコミュニケーションが最高になる」みたいな記事が結構あって、よっしゃ僕もあれこれ頑張るぞ! とおもって頑張って入れてもらってみたものの「Slackを入れてみたけど数人しか使ってくれる人がいなくて過疎る。最高どこいった」という結果で泥臭く頑張るしかねぇ……ということが結構ある。
リモートワークって割とそれ系の最たるものなんじゃねっていう感じがしなくもない。「ワークライフバランスを解決する銀の弾丸」みたいな。

例えば、満員の通勤電車で消耗するのはフレックスタイムを導入すればある程度避けられる。
台風だとか、今日みたいな大雪な日にも出勤しなくてもいい! ってのは「んなもん前日から天気予報でわかるんだから会社が前もって休みを与えればよくない?」っていう解決策だって考えられる。電車がとまるような台風も、大雪も、どうせ(東京では)年間に何日もあるわけじゃないし。
んで、上の問題を差し置いてもリモートワークには価値があるか? というとあると僕はおもうので、もうちょっとこの国でも流行ってくれると嬉しいですね。頑張ります。

ちなみに「大雪でも休めない理由があるんだよ!!!」って憤った人、そういう人にこそリモートワークは価値を発揮するものだとおもいますよ。

以上。

*1:うちの社員はそうじゃない! というのならば、それは採用を間違えている