タオルケット体操

サツバツいんたーねっと

ノンデザイナーズ・デザインブックは万人におすすめできる良書

ずっと気になっていながらもめんどくさくて買っていなかったノンデザイナーズ・デザインブックが、Kindleで出ていることを知ったので買って読んだ。ああ素晴らしきはアマゾンキンドルポチりングスタイル。

非デザイナー、非エンジニアでも読んでおいて損はない

この本、ちょっと前にデザインにビンカンなプログラマーの間で結構流行っていた気がするし、デザインブックみたいなタイトルになっているので「あーデザインやりたい人が読む本ね」「僕は見た目をオシャレ綺麗にするとか興味ないんだよね」みたいに思う人が多いっぽい気がするんだけど、そういう『デザイナー=見た目をいじくって小綺麗にするお絵描きマン』だという風に思い込みをしている人こそ一度この本を読んでおくべきです。
2000円だし、短いし。

最近はUIデザインだーUXデザインダーお前の定義は間違ってるバズワードに踊らされワーみたいな議論が特に良く盛り上がっていて、僕はそこに参戦出来るほどまだ戦闘力が高くないんで持論をちょろっと出すに留めておくんだけど、いわゆる見た目に関わる部分のデザインっていうのはユーザ(受け手)の体験を設計する行為のことで、見た目を綺麗にするとか絵を描くとかはそこを実現するための武器の一つ一つなんだとおもう。

つまりどういうことかというと、ルックスデザインのスキルはクリエイター以外の人間でもあるとすげー重宝するものだっていうこと。

卑近な例でいうと、部下に渡す指示書だとか、受け取った電話のメモだとか、社内資料だとか、プレゼンのスライドだとか……。
こういうちょっとしたものであっても、心得一つで格段に伝わりやすいものが作れるようになるってワケ。

デザインの理論の根底は、心理学的なそういうアレで武装されている。
例えば、カオスの中から人間がどういう順番で視線を動かすのか、どういう優先順位でルールを見つけ出すか*1。そういった人間の性質に対する洞察を、なるべく平易に解説してくれているのが本書っぽい。

根本的なルールに基づいて書かれているので、色々と応用をきかせることも出来る。
例えば忘れ物が酷い子供に対処するために、その行動ルートと視線が必ず向く場所にものを置いておくとか。リーダブルなコードを書く、みたいなタスクに適用することも出来る。とおもう。

ちなみに僕は今でも忘れ物が酷いです。

本能的に理解していたノウハウに目鼻がついた感じ

ぶっちゃけると、この本に書かれている内容のほとんどはみんな本能的に理解して実践出来ていることなんじゃねみたいな感じがなくはなくもない気もするのだけれども、本能的にフワッと理解しているのと、ちゃんと理論立てて理解しているのでは雲泥の差が生まれるので、俺は天才だからこんなのいらんわ! みたいな人も読むといいとおもう。
本書の冒頭にある『ジョシュアツリーの悟り』にもあるとおり、認識して、名前を付けることが出来るようになるだけで見える世界が圧倒的に広がるから。

例えば以前に書いた デザインの素養なしだけどダサいWebデザインにならないように気をつけたこと - タオルケット体操 とかいう雑なエントリから例を拾い上げると、

borderはあまり使わない

例えばカラムレイアウトだとすると、各カラムの区切りをわかりやすくするためにborderを入れまくりたくなるでしょうが、高確率で野暮ったくなるのでやめます。 余白を多めにとって、エリアごとの分離を意識してレイアウトすれば精神的な区切り線が現れてくるのでそれでなんとかしましょう。

どうしても入れたくなった場合、box-shadowをグラデーション気味にうすーく入れるとかするだけに留めておくとあまりダサくならずに済む気がします。 borderをうまく使うのって難しいですよね、どうすればいいんでしょうか?

みたいなことを書いている僕がいる。

今ならわかるけど、この場合はborderが悪いのではなく、「整列の原則」がうまく適用出来ていないデザインに原因があるんだと思う。
整列がうまく出来ていないせいで視覚的なまとまりが悪いのを、対処療法的に誤摩化す為にborderを入れるから野暮ったくてダサくて見にくいデザインに仕上がるのだ。

でもエリアごとの分離を意識してレイアウトすれば精神的な区切り線が現れてくるのでそれを優先して使え、の部分はまんま整列の原則で、やっぱり僕はセンスあるなーすごいなーっておもいました。

逆に、今の僕はまだコントラストを大きくとる勇気に欠けているので当面はそこの克服をせねばならないかなーとおもいました。ユニクロとかペルソナ4とかカッコいいよね。

表面的には今の流行と違うことを書いているように読めてしまう箇所もちらほら

最後に、ノンデザイナーズ・デザインブックで指南されている内容のいくつかは今のトレンド(特にWeb)と逆行するようなものがチラホラあったりする*2んだけど、そこは「指示が言いたいことの本質」を頑張って読み取ると「なるほど同じじゃねーか」みたいな感じになるのでよく読みましょう。
例えばコントラストにしても、文字の太さや飾りではなく、フォントを細いままにして大きさで制御するような、そういう細かい違いはある。

そこはまぁ、腕の見せ所でしょう。

ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]

ノンデザイナーズ・デザインブック [フルカラー新装増補版]

以上。

*1:人間はルールを見いださずにはいられないので、科学を知らない人はデカい台風がくると気象兵器が使われていると信じ込む

*2:特にコントラストの項では感じた